[ラトヴィア]バルト三国行って帰って その3

ビリニュスを深夜に出発、ラトビアの首都リガに向かう。
夜行列車のコンパートメントに入ると中は向かい合わせに2段で4つの寝台が付いたロシア式寝台車だった。寝台車に乗るのは久し振りで、高い料金を前払いしたソ連の旅以来だった。
ビリニュス駅の近くに前売り切符の専用の売り場があるということを教えてもらって、そこで1時間ほど掛かけてリガ行きの切符を買った。発券はコンピュータ化されていたが、ソ連が作ったシステムをそのまま使っているので切符にはキリル文字のロシア語が入っていた。
そこで買った切符が特に指定はしなかったのだが、寝台になっていたのだ。値段も驚くほど安く、リガまでの350キロ(東京・名古屋間ぐらい)の寝台料金が540タローナス(約130円)だった。

リガ到着。駅前のホテルへ。
部屋に入り、洗面台の蛇口をひねるとうれしいことにお湯が出た。その部屋にシャワーは付いていなかったので、受付の人にシャワー室の場所を聞くと鍵を渡された。ビリニュスの宿ではお湯が出なかったので、そこで久々のシャワーを浴びて鍵を返す。
シャワー室に鍵が掛かっているという時は、だいたいの場合、シャワーは別料金ということである。バルト三国では独立後、ロシアから輸入していた石油などの燃料が友好国価格で入らなくなったので深刻な危機に陥ったことがあった。
受付のおばさんに料金を聞くと、彼女は何か答えたが言葉が分からない。ぼくが理解してないと分かると、彼女は片手の指を一本立て、もう片方を全部開いて並べて見せた。この国の1ラトビア・ルーブルは約1円である。
1本と5本。15ルーブルか、60ルーブルか、まさか150ルーブルということはないだろう。
分からないので、紙に書いてもらうと、そこにはしっかりと「6」とだけ書かれていた。6円だ。
ちなみに宿代には白黒テレビ代として5ルーブルが含まれていた。
ちなみに、日本人は6から9の数字を手で表す時、開いた掌の上に立てた指を置いて示すことが多いが、このやりかたでは外国人に分かってもらえないことがよくあった。例えば「6」を示すのに、開いた掌の上に1本立てた指を置くと、開いた掌を単なる背景と見なして「1」だと思われてしまうのだ。

ビリニュスは田舎という感じだったが、リガはそれに比べるとかなり都会だった。ロシア系が三国の中で一番多い(約3分の1)というのが関係あるのかは分からないが、新市街は堂々としたモスクワのような印象のある街だった。


つづく