前略、
「エターナル・サンシャイン」
Eternal Sunshine of the Spotless Mind
脚本:チャーリー・カウフマン
監督:ミシェル・ゴンドリー
いいね。もともとこういう構成の凝った映画は好きだ。
チャーリー・カウフマンの脚本は、観客が設定を聞いて予想するストーリーを微妙にはずし、そしてその先を行く。それでいてハリウッド式ではないかもしれないが、ストレートなラブストーリーに仕上がっている。
でも、やはりこのキャスティングは失敗だったのではないだろうか。いまやハリウッド映画はスターが出ていなければろくな予算が取れないし、ヒットしないと思われているから、大物は必要だったのだろう。比較的地味なこの作品にたくさんのスターが出ている。主役には説明の必要もないジム・キャリーにケイト・ウィンズレット、脇にカースティン・ダンスト(「スパイダーマン」)やイライジャ・ウッド(「指輪物語」)など。
脚本家や監督のインタビューを読むと、主役二人の設定は「退屈で地味でだめなおっさん」と「彼をひっぱりまわすテンションの高い若いパンク娘」だった。
ジム・キャリーはいつものハイパーテンション芸を捨ててちゃんと役になりきっているが、それでもスマートで男前すぎてだめなおっさんには見えない。
ケイト・ウィンズレットもオスカー・ノミネートもされた、こちらはハイパーテンションの切れたパンク娘を演じているが、「タイタニック」のときからいわれていた貫録ありすぎな外見で、当時29才あたりだったらしいが、おっさんと付き合ってひっかきまわす若い娘には見えなかった。ジムが若く見えすぎ、ケイトが年取って見えすぎるため、本来はアンバランスなカップルじゃないといけないはずの二人は全然お似合いなのである。
ケイトがおばさんすぎるのは、後で付き合うことになるホビット族(イライジャ・ウッド)との関係にも問題が出てくる。イライジャが子供っぽく見えるので、ケイトおばさんとのカップルが不自然なのだ。
ケイトの役はいっそのことクリニックの受付嬢役のカースティン・ダンストでもよかったくらいではないだろうか(彼女にオスカー・ノミネート級の演技ができるかは別にして)。
主役二人のかんじはちょうど「ゴースト・ワールド」のスティーヴ・ブシェミとソーラ・バーチがぴったりなのではないだろうか(あるいはスカーレット・ヨハンソンでもいけそう)。
「メメント」と二本立てで見ることをお勧めする。
草々