前略、
旅人としては手回し充電の商品は気になるところ。以前からこの手のラジオはあったが、でかくて高かったので旅向きではなかった。東芝のこの商品(TY-JR10)は小さいし、LEDのフラッシュライトがついていたり、軽い防水仕様になっていたりと、かなり旅に向いている。
とはいうものの、なかなか購入に踏み切れない点もある。
まずFMがモノラルというのはちょっとマイナス。5000円という値段もちょっと高い。
そしてこの商品の売りのひとつである携帯電話の充電機能というのがぼくには不要なもので、もしこれがiPodの充電にも対応してくれていたりすると、即購入となるのだが。
これだけiPod関連商品があって、乾電池式のバッテリーパックや車載ユニットや太陽電池式の充電ユニット(「Solio」)はでていても、手回し式はまだないようだ。どこか作らないかな。
草々
前略、
散髪はいやだ。というのはぼくが小学生の時に書いた作文の中で唯一教師に評価されたものだ(なぜ評価されたかは今も分からない)。
子供のころは父がバリカンとはさみで刈ってくれていた。その後、散髪屋や美容院に行くようになったが、今も髪を切ることがいやであることには変わりない。
そして、以前から興味を持っていたが、なかなか実行に移せなかった「マイ・バリカン」を買うという計画を実行に移した。
ナショナルの「カットモード」。水洗いできる電気バリカンだ。
バリエーションがいくつかあるのだが、みたところ髪を刈る長さを調節するアタッチメントが違うだけのようなので、もっともシンプルで安い「ER504P」にした。値段は1〜2回分の散髪代しかしないのだから、安いものだ。
それからは髪は家で自分で刈っている。自分一人で刈る場合は、いくらアタッチメントが付いていても後頭を調節するのはかなり難しいので、ぼくはもうボーズにすることにした。
自分で散髪すると、散髪がいやではなくなった。
散髪がいやなのではなく、刃物を持った他人に自分をいじられ、コントロールができないことがいやだったのだ。
草々
追伸、バリカンの語源に興味のある方はこちらの記事をどうぞ。
前略、
今日、電車に乗っていたら和服を着たおばあさんがいた。おばあさんといってもそれほど年寄りではなく六十代くらいかな。
そのおばあさんは白いイアフォンしていた。
おっ、その白いイアフォン、そして、その白いコードの先につながって手に持っているものは、ひょっとして…?
おおっ、アイポッド・シャッフルじゃないですか。
ハイカラ〜!
じろじろ見るわけにもいかないので、よそを見ていましたが、電車から降りようとしているおばあさんをもう一度見た時には、おばあさんのアイポッド・シャッフルは和服の胸元、衿の合わせのところにきゅっとはさんでありました。
いかす〜!
ひょっとして、「コンピューターおばあちゃん」?
軽くて小さいアイポッド・シャッフルならではの和服装着法、そして真っ白でシンプルなアイポッド・シャッフルでなければ和服には似合わないでしょう。
おばあさんの今日のプレイリストは何だったのでしょう。
草々
前略、
「エターナル・サンシャイン」
Eternal Sunshine of the Spotless Mind
脚本:チャーリー・カウフマン
監督:ミシェル・ゴンドリー
いいね。もともとこういう構成の凝った映画は好きだ。
チャーリー・カウフマンの脚本は、観客が設定を聞いて予想するストーリーを微妙にはずし、そしてその先を行く。それでいてハリウッド式ではないかもしれないが、ストレートなラブストーリーに仕上がっている。
でも、やはりこのキャスティングは失敗だったのではないだろうか。いまやハリウッド映画はスターが出ていなければろくな予算が取れないし、ヒットしないと思われているから、大物は必要だったのだろう。比較的地味なこの作品にたくさんのスターが出ている。主役には説明の必要もないジム・キャリーにケイト・ウィンズレット、脇にカースティン・ダンスト(「スパイダーマン」)やイライジャ・ウッド(「指輪物語」)など。
脚本家や監督のインタビューを読むと、主役二人の設定は「退屈で地味でだめなおっさん」と「彼をひっぱりまわすテンションの高い若いパンク娘」だった。
ジム・キャリーはいつものハイパーテンション芸を捨ててちゃんと役になりきっているが、それでもスマートで男前すぎてだめなおっさんには見えない。
ケイト・ウィンズレットもオスカー・ノミネートもされた、こちらはハイパーテンションの切れたパンク娘を演じているが、「タイタニック」のときからいわれていた貫録ありすぎな外見で、当時29才あたりだったらしいが、おっさんと付き合ってひっかきまわす若い娘には見えなかった。ジムが若く見えすぎ、ケイトが年取って見えすぎるため、本来はアンバランスなカップルじゃないといけないはずの二人は全然お似合いなのである。
ケイトがおばさんすぎるのは、後で付き合うことになるホビット族(イライジャ・ウッド)との関係にも問題が出てくる。イライジャが子供っぽく見えるので、ケイトおばさんとのカップルが不自然なのだ。
ケイトの役はいっそのことクリニックの受付嬢役のカースティン・ダンストでもよかったくらいではないだろうか(彼女にオスカー・ノミネート級の演技ができるかは別にして)。
主役二人のかんじはちょうど「ゴースト・ワールド」のスティーヴ・ブシェミとソーラ・バーチがぴったりなのではないだろうか(あるいはスカーレット・ヨハンソンでもいけそう)。
「メメント」と二本立てで見ることをお勧めする。
草々
前略、
このビリボ、見てのとおりただのプラスチックの椅子かボールのようなもの。使い方は自由に子供に考えさせて遊ばせる玩具である。
ウェブサイトには遊びかたの例の写真がでていて楽しそうなのだが、与える子供(またはつくった親に)に創造力のかけらもないと、ただのおもちゃの入れ物となってしまうので、3000円を出して買いあたえるかはあげる子供をよく見極める必要があるかもしれない(自分の子供にあげる時はちょっとこわいだろうな)。
しかし、前に紹介した玩具「Cuboro」もスイス製だった。別にスイス製のおもちゃを探しているわけではなく、おもしろそうなのがたまたまスイス製なのだ。
スイスはおもちゃ王国、いや、おもちゃ連邦共和国なのか。
草々
前略、
やってしまいました。グラフィック・デザイナーが最も恐れることのひとつ。
「シール貼り」の刑です(もっと恐ろしいのは「全部刷り直し」の刑ですが、幸いまだこれにはあっていません)。
同じ会社のライターが書いた原稿を元にパンフレットをデザインし、校正し、印刷が上がり、納品されました。
そこに依頼人からの恐怖の電話…。
文章の途中に突然おかしな空白がひとつ入っているという。
「…平野の中にそびえる とした姿は、…」
たしかに。
入稿したデータをチェック。
最悪! 入稿したデータも同じように空白になっている。完璧なこちらのミス。
ライターの書いた原稿を見ると、
「…平野の中にそびえる凛とした姿は、…」
と「凜」になっている。なぜ空白に。そのテキストをコピーしてDTPソフトにもう一度流し込んでみる。
げげっ!「凜」のところが空白に化けた。なぜだ!
解説しよう。なぜかというと、この時に使用した「凜」という文字はマッキントッシュのOsakaフォントをはじめ一般的なフォントにはあるが、ポストスクリプト(OCF)フォントにはないのだった。
この時に使用した「凜」という文字はシフトJISのEAA3の「凜」で、同じ読みで微妙に形の違う「凛」が997Aにもあって、この「凛」ならOCFフォントにもあるのだ。
OCFフォントにある「凛」が正字で、シフトJIS、EAA3の「凜」は異体字ということらしい。
EAA3の「凜」は異体字にもかかわらず、Mac OS 9のOsakaフォントに含まれているが、OCFのポストスクリプトフォントには入っていないのだ。
なぜわざわざこのライターは異体字を使ってきたのか。こだわりなのか。
実はこのライターは、「慣れていて他では書けない」という理由でシャープのワープロ専用機「書院」をいまだに使っており、DOS変換し、フロッピーディスクでテキストをやり取りしている。どうやら書院では「凛」の異体字が出てくるようだ。
同じようにOsakaフォントにはあるが、OCFのポストスクリプトフォントにない文字としてシフトJISのEAA4の「熙」がある。さらに付け加えれば、これらの二文字はCIDフォントには加えられたのでCIDフォントでつくればちゃんと出力される。
いや、もちろん分かっています。みなまでいうてくださるな。この事故の本当の原因はフォントがどうたらこうたらということではないのだ。
今回テキストをDTPソフトに流し込んだその瞬間から、ずーーっと、すべてのカンプや色校正でこの文章は空白が入ったままだったのだ。事故の原因はミスに誰も気がつかず、すべての校正をすり抜けて印刷され、納品されてしまったことなのだ。反省…。
草々