[カナダ]ロッキー山脈縦走記 その2

5月3日
自転車でバンフ周辺のミネワンカ湖、ヴァーミリオン湖、サンダンス峡谷などに行って、鈍り切っていた自転車用の筋肉を鍛えてバンフを出発する。
3時間ほどでユース・ホステルのあるキャッスル・マウンテンに着く。カナディアン・ロッキーには、まるで自転車旅行の人のためのようにハイウェイ沿いの数十キロごとにユース・ホステルがあるので、キャンプの用意をしていく必要がないのだ。
ユース・ホステルの向かいにはガス・ステーションとバンガロー兼業の食料品店があり、町よりちょっと割高だが食料が買えた。
思えば、ちょっと割高などといっているうちはよかったのだ。


5月5日
キャッスル・マウンテンを出発、レイク・ルイーズへ。
レイク・ルイーズはバンフの次にある観光拠点なのでデラックスなホテルが建ち、マーケットなどもあり、ちょっとした街になっている。

5月6日
ルイーズ湖へ。
5月だというのにまだ湖が凍っていた。バンフでは少し残雪がある程度で、湖は全く凍ってなかったので驚いた。絵葉書などにあるこの湖はとてもきれいな澄んだ緑色をしていて、それを期待していたのにがっかりである。


5月7日
日帰りでモレイン湖へ。この湖への道はまだ雪が残っているということで閉鎖されていたが、自転車は入ることができた。
モレイン湖とその後ろに広がるテン・ピークスと呼ばれる山々はカナダの20ドル札の裏にも描かれていて、日本でいえば富士山のような国を代表する風景のようだが、車道は雪が残っているため閉鎖され、レイク・ルイーズからはかなり距離があるので観光客は全くいなかった。


5月8日
朝から真っ黒な雲が出ていたので出発を延期、昼から雨が降りだし、その後、雪に変わった。

5月9日
晴れ。出発する。
モスキート・クリーク・ホステルへ。ここまでくるとユース・ホステルは設備のいい山小屋風になり、電気、電話、上下水道がなくなる。
キッチンと照明はプロパン・ガスを使い、暖房はガスと薪を併用する。水は近くを流れる小川からポリタンクで直接汲んできてガスで約5分以上煮沸消毒する。小川の水はもちろんロッキーの雪解け水で冷たく澄んでいて、一見、何の問題もなさそうで、実際に直接飲んでもおいしいのだが、注意しないとビーヴァー・フィーヴァーというビーヴァーのおしっこに含まれる成分で起こる熱病に掛かることがあるそうだ。
トイレは外に一人用の小屋がいくつかあって、中にはちゃんと洋式の便器があるのだが、その下は地面に穴があいているだけである。シャワーはもちろんない。
驚いたことに、電気のないこの宿に冷蔵庫があった。最初は単に保温のためかと思っていたのだが、扉を開けるとヒンヤリと冷たい。よく見るとガスの管がつながっている。日本にもガス冷房などというものがあるので同じ仕組みなのだろうが、どうなっているのかはさっぱり分からない。
ここまでくると食料品店はもちろん、その他の店も全くないのだが、ユース・ホステルに食料品のストックがあり売ってもらえる。


つづく