6月6日(火)晴れ
キャンプを張ったみさき公園はとてもいいところで、静かで風も吹かず、その夜は寒くもなかった。小鳥とウシガエルの鳴き声だけが聞こえていた。
出発して一週間以上たち、全く鍛えていなかった体に疲れもたまってきていたので、ここに連泊して休むことにする。
自転車を洗車、整備し、洗濯をした。天気もよくのんびりしていたら、公園の管理人が巡回してきて、「ここはキャンプは禁止だよ」と言い渡されてしまった。
しようがない。洗濯物が乾いた時点で撤収して、移動する。近くの厚生年金施設で温泉に入り、数キロ移動して、別の広場にテントを張った。
(6.86km/0h37m・計562.3km)
6月5日(月)曇りのち晴れ
最初のうち、上り下りが多く、トラックも多くてうんざり。
福島県に入る。国道をはずれ海沿いの道を行くが、この日もなかなかいいキャンプ地が見つからずちょっとあせっていたが、いわき市でみさき公園という広くていいところにあたった。問題は整備されすぎていてキャンプしても大丈夫だろうか思わせることだった。
広い公園をうろうろしていたら炊事場と野外炉がたくさんある区画があった。ここがキャンプのための場所でなくてなんなのだろう。キャンプ禁止などという立て札もないのでテントを張った。
(70.93km/5h21m・計553.0km)
6月4日(日)晴れ
テント生活は意外と快適でよく眠れるのだが、このところ朝方が寒くて足が冷えて目が覚めることがあった。荷物を減らすために長いズボンを持ってきておらず、短パンで寝ていたのだ。さすがに短パンではきついと思いはじめていた。
利根川をさかのぼり、北浦へ出る。このへんには釣り竿を一人で5本も10本もたらしている釣り人がたくさんいた。竿にマイコン内蔵のあたり感知器までつけている。こいつらはなにもんだ。漁師には見えないのだが、一般の釣り人がなぜ何本も竿をたらすのか。売りさばいているのだろうか。そんなに生活が苦しいのか。
再び太平洋に出て北上する。南風の順風が吹いていて気持ちよく走れる。
大洗、ひたちなかと進むが、いいキャンプ場所が見つからず、先へ先へと進まざるを得ない。途中でユニクロが見つかり寒さ対策にジャージの下を買う。自転車で北海道を旅したことがあるという大学生に声をかけられ激励を受ける。
夕方近くになって、東海村の原発を過ぎ、久慈川でやっといい河原をみつけテントを張る。水道はないが、もう学習したので途中で水筒に水を1リットル汲んでおいた。JRの鉄橋がちょっとうるさいがまあいいだろう。
この日は順風だったのと、いいキャンプ地が見つからずだらだら走っていたので一日の走行距離が初めて100キロを超えた。
(109.44km/6h50m・計481.7km)
6月3日(土)曇りのち晴れ
起きたら霧雨が降っていてぎょっとしたが、すぐに止んできたので出発。
九十九里浜を出て犬吠埼へ。九十九里浜はずっと真っ平らだったが、岬に近づくと山になっていて上り下りが多くなる。
銚子で銭湯に入り、利根川にかかるせまくて長くて歩道のない人殺し橋、銚子大橋を渡り、茨城県へ。
利根川を少しさかのぼるといい感じの川沿いの広場があったので、トイレも水道もなかったが、そこにテントを張った。
(58.19km/4h12m・計372.3km)
6月2日(金)晴れ
しばらく走って九十九里浜に入る。最初のうちは自転車専用道があったが、道の続き具合の分かりにくい不親切な道で何度も道からはずれてしまった。それでも車を気にしないで走れるのはらくちん。
昼食にお寿司屋さんに入って自転車旅行中であることを話したら、板前さんが若いころ競輪の選手をめざしていたということで話が弾み、定食を大盛サービスしてくれた。
九十九里浜中ほどの人がだれもいないゴーストタウンの遊園地のような蓮沼海浜公園にトイレがあったので、そこから防風林を抜けたところの海岸でテントを張る。
(70.43km/4h50m・計314.0km)
6月1日(木)晴れ
4日目にして早くも疲れてきた。たいしてトレーニングもせずに出発したので体ができていないのだ。
鴨川を過ぎたあたりからトンネルばかりになる。しかも歩道のない狭いトンネルで恐ろしい。中は暗くて対向車が来るとそのヘッドライトに目がくらんで通りすぎた後、何も見えなくなってしまう。
海沿いの村を走りながらキャンプ地を探すが、漁港のある村ばかりでテントを張れそうなところが見つからない。ようやく勝浦市の守谷海岸で手入れの行き届いたきれいな砂浜をみつけ、テントを張る。
(69.72km/4h51m・計243.7km)
5月31日(水)晴れ
三浦海岸を過ぎ、火力発電所を過ぎ、フェリーターミナルに着く。千葉まで大人500円プラス自転車270円。折り畳み自転車を使っているので畳んで持っていけば自転車代はいらないのだが、たいした値段でもないので自転車代も払って乗った。
千葉県の金谷港に着く。24時間営業の銭湯があったので、出発以来初めての風呂に入る。ここのところ晴れが続いていて急激に日焼けしたのでぴりぴりと肌がしみる。
房総半島を海沿いに走る、昼過ぎからいいキャンプ地はないかとさがしながら走ったが、全くいいところがない。州崎をすぎて、「日本の道100選」だという房総フラワーラインに入ると平砂浦というなかなかいい海岸になったのだが、トイレも水道もない。コンビニはもちろん、店もほとんどない。常に水筒に水を十分に入れておけばいいのだが、重いのが嫌なので走行中に飲むための分以外は積んでいない。途中、温室で作業をしていた人に頼んだら「川の水でも汲めば」と断られた。千葉県人の印象大幅ダウン。さらに進むと「トイレご自由に」というガソリンスタンドがあったので、トイレのついでに水を汲ませてもらう。
水さえあればなんとかなるので、平砂浦の海岸にテントを張る。この日も風が強く、砂浜ベースの地面なのでペグの固定がゆるくてちょっと心配だったが、広々とした美しい海岸で、人もほとんどおらず、いいところだった。
(69.98km/4h46m・計174.0km)
5月30日(火)晴れ
7時起床。出発。三浦半島を南下する。このへんからの海沿いは崖になっていて道も上り下りが激しい。南端の城ケ島へ行こうと高台から三浦港へ坂を下りていったら、城ケ島へは高台の上から橋が伸びていて、また高台を登るはめに。
城ケ島から海沿いに東へ。途中で弁当を買い、島から見えていた風力発電の風車をめざす。ああいう風車のあるところはだいたい公園になっているのだ。思ったとおりで、そこで昼飯を食って休んでいるうちに、そこがなかなかいいキャンプ場であることに気がついた。きれいなトイレと水道もある。まだ、昼をすぎたばかりでほとんど進んでいなかったが、そこに腰を据えることに決定。洗濯をしたり、本を読んだり、公園に来た人と話をしたりして過ごす。
夜になり、テントを張って、眠る。昨夜のように波の音がうるさいということはないが、今日も風が強く、風車のモーターが発電する音がけっこううるさかった。
ショックな出来事が起こった。夜中に起きて、頭がかゆくてたまらないので外の水道で頭を洗ってテントに戻ったら、ライトをつけて入口を開けたままにしていたので蚊がいっぱい入っていた。蚊取線香を焚いて退治した後、金属製のクリップではさんで火を消そうとしたら、火の付いた部分が折れて飛び、テントの床に落ちてしまった。
「うぎゃーーー!」などと奇声を上げる間もなく、エイリアンの体液に溶かされていく宇宙船のように、テントに敷いた銀マットとテントの床は溶けて穴が開いてしまった。
テント内での火気使用は注意しましょう。
(27.64km/2h03m・計104.0km)
5月29日(月)晴れ
眠くて起きられなくて三度寝ほどしてやっと起きる。朝食を食べ、電気のブレーカーを落として、鍵をかけて出発。
出発して3秒。駐輪してあるモーターバイクと建物の間を通ろうとして、ハンドルのグリップに付けてあるバックミラーがバイクに接触してはずれて落っこちてしまった。
うう〜ん、これは何かのお告げか。とりあえずバックミラーをよく見て、後ろには気をつけるようにしよう。
百合ヶ丘方面から町田へ。境川自転車道路を下る。
鎌倉へ。初日からがんばりすぎてもよくないので、このへんから今晩のキャンプ地をさがしながら走る。しかし、この辺りは人が多く、柄もよくないので、先へ進み、三浦半島に入った。すぐの逗子マリーナの近くの海沿いに公園があり、いいと思ったのだが、水道とトイレがなかった。
もうちょっと進んでみることにした。今日は風がけっこう強い。しばらく行くと林と砂浜のある海岸があった。林で風も少しは防いでくれそうだ。ぼろいがトイレと水道もある。
一色海岸。ふとみると警察官が立っていた。何人もいる。なぜこんなところに。立ち番用の小屋まで建っている。何かの警備なのか。ここは三浦半島、葉山町…、ひょっとして…、葉山…の御用邸?
こんなところにテント張っても大丈夫かな。まあ、すぐ隣ってわけではないし、近くの海岸では子供が遊んでるし、問題ないでしょう。
念のため、夕方、日が暮れるころまで待ってテントを張り、晩飯を炊く。
最初の晩は波の音が気になって耳栓をしてもなかなか眠れなかった。でも、人通りも少なく、車も通らず、警察のおとがめもなく、まずまずの初日だった。
(76.37km/5h30m)
奥の左手が葉山御用邸
前略、
- ダホン スピードP8
- コールマン コンパクトツーリングテントDX
- リッヂレスト(スリーピングマット)
- 銀マット(200×100センチ、薄いタイプ、テント内に敷く)、ピクニックシート
- 寝袋(ワンシーズン用)
- カーボーイロック(自転車用ワイヤーロック細長)
- イワタニカセットガスジュニアバーナー&カセットガス
- アルミ風防(105円ショップのキッチン用を半分に切った)
- 食器類(アルミ製コッヘル 大中小、はし、スプーン、アーミーナイフ)
- 食料(無洗米、レトルトパック、紅茶、スープなど)
- 調味料(塩、コショウ)
- プラティパス(ビニール製水筒 530mlと1000ml)
- 自転車ワイヤーロック(太短)
- レインコート
- スリップカバー(自転車輪行袋)
- 軍手
- タイヤチューブ(1本)
- 修理マニュアル(文庫本)
- 自転車用工具ケミカル類(空気入れ、ギアオイル、KURE 5-56、グリース、アーレンキー、ドライヴァー、ミニスパナ、パンク修理セット、タイヤ空気圧計)
- 着替え
- デジタルカメラ(キャノンイクシイデジタル55、充電器、替え充電池、パフパフ)
- 手回し充電ラジオ
- LEDヘッドランプ、LEDフラッシュライト
- 目覚まし時計
- 乾電池
- 文庫本(数冊)、各地地図
- 手帳、日誌、筆記具、名刺、ハサミ、印鑑、カード類
- 耳栓、爪切り、毛抜き、綿棒、傷テープ、裁縫セット、トイレットペーパー
- 虫よけスプレー、蚊取り線香
- ヒモ、クリップ、フック、ビニールテープ、ベルクロ付バンド、スーパーボール(大)
- 洗面用具
- 帽子、速乾素材シャツ・パンツ、パッド入りインナーパンツ
前略、
一泊で出るゴミ用の小さなビニール袋は持っといたほうがいいな。
荷物は使用状況別にパッキングしたほうがいいな。「テントの中で使うもの」(目覚まし時計、日誌、ラジオ、ヘッドランプ、本など)とかね。
自転車で長距離走るとやっぱりお尻が痛い。カナダで走ったときもお尻にできものができてしまった。サドルもけっこういいやつでパッドが入っているけど痛い。パッド入りパンツを買ったほうがいいな。でもあのぴっちりパンツはいやだからインナーパンツにしてズボンの下にはこう。
カメラはフィルムかデジタルか、悩みに悩み、一時は充電やデータのバックアップのことを心配しなくていいフィルムカメラにしようと決定していたのだが、やっぱりちょっとでも荷物を少なくするためデジタルにすることにした。替えのバッテリーをひとつ買い足したのでこれでなんとかしよう。
石油製品の服はあまり好きではないのだが、速乾素材の服はやはりいいね。いまはユニクロでも売ってるから便利。モーターバイクとバイク(自転車)の違いは、速く走れば走るほどモーターバイクは寒くなるけど、バイクは暑くなること。どうせ石油を使うならぼくは服のほうにしておこう。
草々